ギャングース

2014年10月26日 読書
ギャングース
ギャングース
『上をタタいてやろうか?』
『俺がシナリオ書いて、ジジババ騙すほうがアガリは太いぞ?』

裏社会の用語がかっこいい漫画『ギャングース』。

現代日本の裏社会は、徐々にヤクザからカンパニーと呼ばれる犯罪組織へと中心が移っているそうだ。
そのカンパニーの構成員になっているのは少年院や刑務所あがりだとか、若年ホームレスだとかの社会からつまはじきにされた主に若年層。
裏社会の生々しい実態を描くというのが最も大きい作品のテーマだが、同時に若者貧困層の問題についてもたびたび作中で言及される。


テレビやインターネットで若者の貧困化が問題として取り上げられているとき、大抵少子化問題の関連で語られることが多い。少子化も重大な問題ではあるのだけれど、この漫画で描かれているような食べていけない若者が組織的に犯罪に手を染めているというのも恐ろしい話だ。
スラム街の若者がギャング団を組織して強盗などの犯罪を犯す。ギャングというと海外のイメージだが、『ギャングース』の舞台は日本だ。日本のマスコミは国内の事についてスラムだとかギャングだとかって言葉を使いたがらないから、日本人は当面平和ボケしたままだと思う。
自衛のためにも読んだほうがいいと思う作品。




ワイルドマウンテン
ワイルドマウンテン
月刊IKKI休刊。
漫画は純然たるコミックス派なので雑誌の休刊についてはいまいちピンと来なかったが、自宅の本棚を見返してみると思いがけなくIKKIコミックスが多くて知らず知らずお世話になっていたようだった。
雑誌に関わっていた方にはお疲れ様とお礼を言いたい。

表題の『ワイルドマウンテン』は数年前までIKKIで連載されていた作品で、僕のもっとも気に入っている漫画のひとつだ。

作者の本秀康さんはイラストレーターとして活躍していた方で、その独特なタッチは漫画でもどこかほのぼのとした世界観に発揮されている。まあ、表紙を見てみれば一見して雰囲気が分かるかと。
ただ、絵柄に反して登場人物の発言に毒があったりするのだけど。


内容は、元地球防衛軍の隊長・菅 菅彦が、心機一転、中野区ワイルドマウンテン町の町長として日夜奮起する様子を描いたもの。一話完結モノの日常系漫画ではなく、例えば菅彦がなぜ地球防衛軍を退職することになったのかなど、徐々にバックグラウンドが明かされながら物語が発展していく構成になっている。

全八巻で、1~5巻が菅彦の町長としての奮闘記&二人の女の中で揺れ動く話。6~7巻
は突如宇宙人が襲来する話。で、8巻がなんといえば良いのか…とにかく怒涛の展開。
8巻を書きたいがために残りの巻を書いたようにも思え、それまでに散りばめられた要素がクライマックスに向けて収斂されていく。

ギャグでもシリアスでも一貫してほのぼのと描かれているからなのか、読み終わった後の奇妙な浮遊感がたまらない。文字ではなかなかうまく書き表せないので、実際に読んでもらうのが一番早い。


そりゃそうと、職場で菅彦に名前と雰囲気が似ている先輩がいるので、菅隊長(笑)と呼んでいる。

ボクガール

2014年9月1日 読書
ボクガール
ボクガール
ボクガール
コミックス1~2巻までの感想。もちろんネタバレとか含む。


ポップな表紙に魅かれて久しぶりのジャケ買い。
今まで散々ジャケ買いで失敗してるので実はあんまり期待していなかったけど、読んでみたらすごく面白くてハマってしまった。

簡単にストーリーを説明すると、
男らしい男でありたいと願いながらもその顔立ちから女の子に間違われがちな主人公・鈴白瑞樹が、イタズラの神・ロキに見出され、ある日不思議な力で本物の女の子にされてしまう。偶然事実を知った幼馴染・一文字猛 と協力しながら、元に戻る方法を探ししつつ、片思い中の女の子・藤原夢子とラブコメしつつ、女の子の体に戸惑いつつの高校生活を描いた作品。


ネット上の感想を端読みしていったところ、いわゆるTSF(性転換モノ)においては王道的なストーリーらしい。こんなマイナージャンルにも王道とかあるんだ…。


ともかくこの漫画の一番の魅力は、なんといっても主人公の瑞樹ちゃんが可愛さ。
元々中性的な顔立ちで唇がぷるぷるしく描かれている彼だけど、女になってからはその影響なのか仕草まで妙に色っぽい。お風呂に入ったときに周りに女であることを気づかれないようタオルで前を隠すのだけど、前を隠しながらお湯をかぶる様子をみた他の男子がモンモンとなったりする。その他にも無意識な色気がちょくちょく出るシーンがあって、ロキのいたずらで心の一部も女にされてる可能性はあるけど、子供のころからぬいぐるみ好きだったり元々素養は合ったのかも知れない。男の娘の素養ね。
表情の変化もすごく豊かで、藤原さんの反応に一喜一憂する一途な瑞樹君も応援したくなるようないじらしさがあるし、自分が女の子であることをふと自覚して狼狽える表情なんかもすごく良い。そんな様子を見てロキがゾクゾクしながら喜んでたので、ある意味このロキがいちばん読者目線に近いキャラなのかも。


他の登場人物との関係性も面白い。
例えば主人公の友人・猛は友達思いでやさしく、瑞樹にとしては自分を男して接してくれるかけがえのない存在。
ところが、瑞樹が女になってからは、ちょくちょく異性として意識させられて、友達としての関係と異性としての関係との中で葛藤していく。瑞樹が前々から女っぽい自分の見かけにコンプレックスを持っていることを承知しているだけあって、その悩みは結構大きい。
逆に、瑞樹の方はといえば全く平然としたものなので、男として意識されなさ過ぎることについて猛が複雑な表情を浮かべるシーンがある。
今後巻数を重ねるごとに友人同士の関係がどう変化していくのかすごい楽しみ。

そういえば瑞樹が猛の前で服を脱いだのを猛に咎められたのに対し、いや男どうしだろ?とさらっと流すシーンがあった。
実際に起こりえないから確かめようも無いけど、反応としてはそっちの方がリアルなのかな?なんかこういうパターンって、女になった側も恥ずかしがるイメージあったけど。。


瑞樹と猛についてはそのときの心情が文字として表記されるので分かりやすいけど、逆に藤原さんの方の心の声は文字で書き起こされず表情とかで汲み取ってくださいって感じ。
藤原さんが猛に思いを寄せているようなそぶりを見せて、それに気づいた瑞樹が一度落ち込んだのち、「いや、でもハッキリ決まったわけじゃないから、僕にもまだチャンスはあるはずだ。もっと男らしくなれば振り向いてくれるはず。」と気を取り直すシーンがあるけど、このあたりの瑞樹の心の動きはすごく共感しやすい。読者を瑞樹の片思い目線に持っていくための仕掛けなのだろう。


この手の漫画って、設定を食いつぶしていきながらどんどんパワーダウンしていく印象があるけど、ボクガールは登場人物同士の関係性やキャラの内面が変化していくのを楽しみに出来るので今後も読み続けたい。


銭湯回に出てきた子供のギャグ顔をマギで見たような気がしたけど、元々大高忍のアシスタントだったんだね。納得。


他にもいろいろ言いたいことあるけど書ききれないから、今回はこの辺で。


あ、でもいくらなんでもエビフライと大縄はあざといと思いました。

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

最新のコメント

この日記について

日記内を検索